偉大なる孤食

孤独を味わうことで、人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。

蒙古タンメン中本 スタミナラーメン

スタミナラーメン

・スタミナラーメン 850円 ・野菜大盛 70円

もう中本以外の記事書かないんじゃないかっていう程まで中本を愛し続けて3か月くらいですが、まあ例によって蒙古タンメン中本からの一杯をご紹介。

私くらい性懲りもなく中本中本と連呼して悦に浸っているような自己満足系中本ファンともなれば、どこの店舗でも提供している定番メニューだけでなく、店舗限定のマイナーメニューを賞味したくなるもの。

そしてこの「スタミナラーメン」はまさにそのマイナーメニューに属する一品であり、上板橋本店、錦糸町、柏(土日祝日)でのみ提供される。しかし、いくらマイナーとはいえ先代中本時代から定番メニューとして提供されていた由緒あるメニューなので、決して思い付きで考案したオリジナルメニューというわけでは断じてない。

先代から伝わる由緒あるメニュー、これは自称中本ファンにとっては必ず食さねばならない一杯であると意気込み、ラーメン一杯のためだけに錦糸町まで電車に揺られて訪れることとなった。

醤油味のスープに炒めた野菜(モヤシ、キャベツ、ニンジン、キクラゲ、タケノコ)と肉を塩味の餡で閉じ込め、半玉スライスと薬味のネギが添えられる、見た目は実に中本らしくない一杯。しかし、一度口にすれば、これがとても手間のかかった実に中本らしい一杯であるという事実に気付く。

醤油スープ、野菜餡、共に単品として申し分のないほどの完成度を誇る味付けがなされているが、これを一緒に食べたときにこのラーメンの真価がわかる。

見た目と違ってまろやかで優しい醤油スープに、やや攻撃的で濃い味の餡が合わさることにより、味の奥行が増し、結果として乗算的にコクと旨味が増すのである。

通常いろいろな味の要素を計算なしに掛け合わせると、味の統一性、方向性が迷子となり、何を主張したいのかがわからない料理となってしまうのである。

しかしさすがは職人が集う中本。恐らく先代の頃から変わらぬ味を忠実に再現しているのであろうが、ドンピシャと言わんばかりに味を決められるその技術とセンスには脱帽するばかりである。

提供される店舗が限られている上に、中本の辛いラーメンというイメージから遠く離れた一杯である故に、これを食すのは二の足を踏んでしまうのはわかるが、それでもなおこの先代から伝わるスタミナラーメン、中本ファンであるなら是非。