偉大なる孤食

孤独を味わうことで、人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。

梅乃屋 千葉県富津市【竹岡ラーメンの発祥】

梅乃屋 大ラーメン

大ラーメン 850円

千葉県には「千葉三大ラーメン」とカテゴリライズされるラーメンがあり、この梅乃屋は三大ラーメンの1つ「竹岡ラーメン」の発祥とされる。

創業は1954年であり、ACDCのギタリスト「アンガス・ヤング(1955年生)」がこの世に爆誕するよりも前にこの地に根付いた老舗も老舗である。

創業から一貫してラーメンのスタイルは変わっておらず、醤油と日本酒で煮込んだ豚バラチャーシュー、その煮汁を白湯で割ったスープ、薬味にタマネギ、そして乾麺であるという昨今の凝りに凝ったラーメンとは異なる要素で構成される。

チャーシューが売り切れになった時点で営業が終了するので、土日祝日や大型連休はチャーシューメンの提供が制限され、「ラーメン」「大ラーメン」のみの提供となることもある。

私が訪問した時は「ラーメン」「大ラーメン」のみの提供であったため、大ラーメンを注文。大ラーメンは麺が大盛りになるだけではなく、チャーシューの数も3個→5個に増量となる。

店内には軒先に設置される自動販売機の飲料を持ち込むことができる。このラーメンの特性上、水分を何度も欲することになるし、1人で入店した場合は1000%相席となり、他人の領域を何度も犯してピッチャーに手を伸ばし水を注ぐのも気が引けるので、飲料水は持ち込んだ方が吉。

まず目を引くのは豪快に分厚く切られたチャーシュー。これは煮汁がよく染み込んでおり、柔らかくとても美味しい。チャーシューは梅乃屋の目玉と言えるので、可能であればチャーシューメンを注文して沢山味わいたいところ。

スープはチャーシューの煮汁をただのお湯で割ったもの。見た目はかなり塩辛そうに見えるが、飲んでみると意外とまろやかである。もちろん、所謂ところの中華そばのスープに比べれば醤油が全面に出ており、食べている途中で何度も水を欲するくらいには塩辛くなっている。スープの作り方の特性上、旨味やコクがあるか、と言われれば「少ない」と言わざるを得ないであろう。醤油、日本酒のほかには豚肉から抽出された旨味成分だけなのであるから。

そして麺。大ラーメンにすると、巷のインスタントラーメンの2.5袋分くらいの麺が盛られる。この麺の量に苦しめられてしまうのである。既成の乾麺なので、こだわりぬいた特別に美味い麺かと言われれば絶対にそんなことはない普通の麺であり、それが膨大に盛られるとやはりキツい。チャーシューを食べ終わり、残りはスープと麺だけになったしまったあとは、気合でなんとかするしかない。

行列必至の竹岡ラーメン発祥「梅乃屋」。ここはラーメンオタクが野暮な御託を並べるところではない。地元に根付いた、地元のための飲食店。それを感じ取りたいのであれば是非ご賞味あれ。